2011/05/22 (Sun) 理念の続き / 文系アングラー
理念について考える時に、いつも頭に浮かぶのは「文系アングラー」という言葉です。
この造語は2年くらい前に思いつきました。
あ、俺にピッタリだ、って。

別に、ごりごり文学を読むわけじゃありません。
むしろあんまり読みません。
でも思いついた時に、何だかしっくりときました。

自分がどこに属しているのかという疑問は、普段はあまり頭に上ってきません。
日本であり、岡山県であり、バス釣り業界であるのは当たり前のことだからです。

しかし、くくられ方に違和感を覚えることがあります。

例えば、外人から「日本人って今でもちょんまげなんだろ?」
と言われたら、私はすかさず否定します。
「あれは江戸時代までの話であって、明治には文明開化したの!」

ちょんまげを境に私は「明治からの日本人」にくくり直されたことになります。
ちょっとした条件の違いで、自分が属する場所は変わります。

六度九分の話をすると、いわゆるトッパーだと思われている時もありましたし、クランクカーと呼ばれることもありますし、ハンドメイドルアービルダーだと言われることもあります。
釣人と括られることがあれば、バスアングラーとして紹介されることもあります。

そのどれもが正解です。
つまりそれぞれの要素は含んでいるという事です。
しかしそのどれもが、六度九分を言い当ててはいない感じがしていました。

釣りのジャンルであるとか、作っているルアーの違いであるとかを「ものさし」にしていては、自分をうまく説明できない。
どうもそのようなのです。
そういう事を考えていた時にふと「文系アングラー」という言葉が浮かびました。

理念について考える時に、もう一つ頭を離れないのがブラックバスという魚についてです。
日本のバス釣りのトラウマは、社会的に受け容れてもらえない事です。
だから、事あるごとにブラックバスの社会的な有用性を主張しなければなりません。

バス釣りをする人がブラックバスの有用性を指摘する時に、必ず出てくるのが「釣り場周辺地域の経済が潤うから」という理由です。
これは、現にバス釣りで賑わっている千葉のダムなどを見ても、疑いようがなく確かなことです。
しかし、このバス釣りをする人の主張が同時に伝えるのは「要するにお金が回ればブラックバスを受け入れて頂けますよね」というメッセージです。

お金が最優先事項になるのは私でも分かります。
でも、最初から「要するに金だろ」と言う人を、地域に招きいれることについては抵抗を憶えます。

私はブラックバスが社会的に有用な魚だと信じています。
しかしそれは「釣り場周辺地域の経済が潤うから」だけではありません。
そもそも「釣りの経済効果」について語る釣人だって、お金と言うフレームが分かりやすいからその話を持ち出すだけで、実際には釣りから引き出される「もっと豊かなもの」を潜在的に知ってはいるのです。

では、その釣りが持つ豊かさとは何でしょうか。
その極めてあやふやなものに具体的なカタチを与えたのが、矢口高雄や開高健をはじめとする作家たちでした(敬称略)。
彼らに共通するのは、どうしたら魚が釣れるかを必死で考えると同時に、釣りから引き出される人間的なものを表現し続けたという点です。
それが釣りというローカルな遊びに、釣りをしない人にも届く言葉をもたらしました。

少し前に、某テレビ番組でアメリカのバス釣りトーナメントを特集していました。
その時、真鍋かをりが、
「なんで魚を持ち上げただけで あんなに盛り上がるのか分らない」
というような事を言っていました。

「何匹つれた」とか「どうやって釣った」といった釣りの話は、釣り人にしかその凄さを共有する事ができません。
つまり釣りを外に伝えようと思ったら、釣りがうまいだけではどうしようもない事になります。
そういう役割を担えるのは「たくさん釣るだけが釣りじゃないよな」とか「何で釣りなんかしてるんだろう」であるとか、釣りの文化的な側面をふと考えてしまう人です。
つまり、気付いたらこういう文章を読み込んでしまうような人のことです。

そんな人に名前をつけるなら「文系アングラー」がしっくりくるんじゃないかと思い至りました。
文系アングラーのような存在が少しでも居る事で、釣りの豊かさを外に伝える回路が開かれるのではないかと思うのです。

という訳で、文系アングラーがここにもおりますよー、という旗を六度九分でも掲げたいと思います。
ぱたぱたぱた。

comment

ワタクシは、ロマンチストアングラー、もしくは浪漫主義アングラーとでも名乗ろうかな?(笑)
2011/05/23 19:18 | URL | M木 [ 編集 ]

まぁホントに行友さんの文才は色彩豊かですよね~☆
カウンターパンチのような展開やオチのつけ方など、天晴れですm(_降参_)m

その視野の広さ(捉える角度の多さ)とアイデンティティーの豊かさが、ルアーにもにじみ出ていらっしゃるのでしょうね~☆
2011/05/23 21:54 | URL | さるお [ 編集 ]

円城塔オススメ!
2011/05/23 23:43 | URL | Mog [ 編集 ]

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2011/05/24 11:16 | | [ 編集 ]

恐妻オヤジ系アングラーのなべちゃんです(笑)
家庭が潤ってない!!と常に厳しい目で見られながらの釣りです。
岡山で釣りをした際にはキビ団子買って帰りました・・・・・・おおっ 岡山経済の足しになってる!
2011/05/24 12:24 | URL | ナベちゃん [ 編集 ]

「釣りの豊かさ」って、なかなか釣りしない人には伝わらないんでしょうねぇ・・・。
映画で「釣り」を題材にしてても、その周辺の物語と釣りとの繋がりって曖昧な感じだし、逆に釣りゲームなんかは直接的に釣りを再現しようとしてもやっぱり無理だったり。

でも「真鍋かをり」から釣果報告が来る日を目指してがんばれ!文系アングラー!!
2011/05/24 13:25 | URL | MYGのA [ 編集 ]

>M木さん
M木さんが誰よりもロマンチストだって事、私は気付いてましたよ!
でも私だって負けてません!
でも魚を見る時の目のうっとり具合では負けるかもです。。

>さるおさん
文才があるだなんて、私のくすぐり方を心得ていらっしゃいますね!
精進します。
で、また時々くすぐって下さい(爆

>もぐさん
円城塔さんの名前は初めて聞きました。
時間を見つけてチェックしてみます!!

>2011/05/24 11:16さん
熱いメッセージをありがとうございました!
こういう事をお座なりにしては前に進めぬ質なのです。
この性格を持て余してます(笑

>なべさん
岡山を潤わして頂いてありがとうございます!
ちなみに六度九分の部屋の目の前は岡山県観光土産品協会さんの事務所です。
そこの方がとても親切で時々お菓子をくれます。
あ、ひもじそうに見えてるだけでしょうか。

>MYGのAさん
先日の関東では動画を撮ってきたんですが、いつもの如く、なかなか釣れずに苦労しました。
ようやく待望のアタリがあった瞬間に、私は悟ったんです。
バスが喰いついたその瞬間、身体にズキっと電気が走るあの感じだけは信じられる。
釣りを伝えるのは難しいですが、難しいほうが燃えるじゃないですか。
バス釣りが自分を大きくしてくれると信じてます、心から。
2011/05/24 22:19 | URL | 六度九分 [ 編集 ]

うんうん、行友さんの文章にも引き込まれるものがあります。
きっと、釣りをしたことのない人にも通じるものだと思います。

開高さんは大好きですが、矢口高雄さんは読んだことありません…
今度読んでみます^^
2011/05/24 23:58 | URL | うっちー [ 編集 ]

矢口高雄先生の「釣りキチ三平」、読んだことありませんか?
書く言う私も去年になって初めて読んだのですけれど。
三平君のみなぎるエネルギーが絵から伝わってきて元気が出ます!
2011/05/25 09:04 | URL | 六度九分 [ 編集 ]

矢口高雄さんはあの釣りキチ三平の作者さんなんですね!
それが、まだ読んだことがないのです…
釣りは大好きなのですが、自分の年齢からか釣り歴が浅いためか
今まで接点がありませんでした。
気になってしょうがないので時間を見つけて読みますー^^
2011/05/25 22:20 | URL | うっちー [ 編集 ]

私もいろんな人から「今さら?」と言われましたが、遅きに失する事はありません!
マストアイテムです!!
たくさんあるので、ちびちび読み進めることをお勧めします。
2011/05/26 08:32 | URL | 六度九分 [ 編集 ]

自分も釣り業界で飯を食わせてもらっています。最近売れることに変な抵抗と嫌な気持ちが付きまとっていました。売りたいから作った訳じゃない。けど
売らねば生活が出来ない…。 初めてブログを読ませていただき、心がすっきりしました。
またお邪魔します。ありがとうございました!
2011/05/27 09:05 | URL | 若林 諭 [ 編集 ]

お役に立てたようでなによりです!
釣りだからこその、魚が食いついた瞬間のあのドキドキ感は何物にも代えがたいですよね~
そういう時間を作る素敵な仕事だと思います。
なかなか大変な業界ではありますが、お互いに頑張っていきましょう!!

2011/05/27 15:29 | URL | 六度九分 [ 編集 ]

社会に受け入れられるにはお金だ!ろそのことばかりを言うプロ・フィッシャーマンに会ったことがありますが、世間から見るとかなり小さな額の話しで、釣りに関心のない世間の人に受け入れられるとは到底思えないと感じていますし、いやしく感じられ釣りを趣味とする僕としてはいや~な感じがしました。
釣り文学は過去にはすばらしいものが有るけれども最近はどうなんでしょう?お勧めがあればご教授願いたいです。
2011/05/27 22:48 | URL | アベシゲル [ 編集 ]

釣り文学ではありませんが、大岡玲さんは釣りキチだそうです!
http://www.radiodays.jp/item/show/100005

ちなみにここではコジレイの話も聴けますよ~
http://www.radiodays.jp/item/show/200254

ラジオデイズ面白いです。
2011/05/28 04:55 | URL | 六度九分 [ 編集 ]

>魚が食いついた瞬間のあのドキドキ
そうなんですよね!今までなかなか得られなかった
あのドキドキを伝えたくて始めたのに…
がんばります!! コメントありがとうございました!!
2011/05/29 21:56 | URL | 若林 諭 [ 編集 ]

ラジオデイズ、ダウンロードしました。これから聞いてみます。
ありがとうでした。
2011/05/30 08:09 | URL | アベシゲル [ 編集 ]

>若林諭さん
何をされているのか気になってググってみました!
ストリッパー、お店で見かけたことがありますよ~
こだわられていて良さげですね!

>アベシゲルさん
やっぱりコジレイが気になりますよね(笑
にしても大岡さん良い声にドキドキです
2011/05/30 13:10 | URL | 六度九分 [ 編集 ]

ググッていただきありがとうございます!!
クランクが引けないエリアにおススメです(笑)
これからも宜しくお願いします!!  
2011/05/30 22:34 | URL | 若林 諭 [ 編集 ]

こちらこそよろしくお願いします!!!
2011/05/31 14:57 | URL | 六度九分 [ 編集 ]









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