2016/05/28 (Sat) タナタロウ②/カラー、アクションよりタナ取り!?
それでは前回の続きから。
1990年代のシステムクランクは、水深を軸にシステム化されていました。
これは言うなれば「縦のシステム化」です。
それに対してここ10年の流れは、アクションを軸としたシステム化が進みました。
同じ水深でもクリアウォーターならタイト寄りのアクション、マッディシャローならウォブルの強いもの、といった具合に。
これを私は「横のシステム化」と考えています。
で、ここ10年で進んだ「横のシステム化」の揺り戻しとして「縦のシステム化」が、もう一度見直されるんじゃないか、というのが私の予想です。
スクエアビルを例にとると、サイズ展開は充実していますが、それに対してレンジ展開が意外なほど少ない。
加えて、同じボディシェイプでもシャローダイバーとミッドダイバーでは、アクションや使用感がまるで違います。
だから本当にクランキングをやり込んでいる人は、クランクベイトのメーカーを跨いで独自のシステムを作っていますよね。

手前からタナタロウ50、100、150。次は50をリリースするべく奮闘中。
ルアーをデザインする立場からすると、水圧などの問題から、厳密に同じ使用感でレンジを変えるというのはなかなか難しいところです。
と言うか不可能。
ただ私は、もしレンジが違っても使用感を近く出来るなら、それに越したことは無いと思っています。
理由は、レンジによってアクションや適した巻きスピードが同じなら、何が魚の反応の違いを生んでいるかが分かり易くなるから。
それは同時に、次に何を試すべきかを明確にしてくれます。
タナタロウで目指したことの一つはこれです。
ではどうしてそんなにレンジ展開にこだわるのか。
これは、単純にレンジの違いが魚の反応の違いを生むからです。
タナタロウのテストを繰り返す中で改めて感じたことですが、細かいレンジの調整は時にカラーを変えるよりも、或いはアクションを変えるよりも魚の反応に差を生みます。
でもどういう訳か、例えばエサ釣りでは常識であるこの「タナ取り」の重要性が、ルアー釣り、特にクランクベイトとなると意外なほど見過ごされているように思います。
この傾向が生じるのは、クランクベイト自体が魚を引き寄せてくれる特徴を持ったルアーだからでしょう。
クランクベイトの釣りは、トップウォーターやビッグベイトと同じように、どうしても食い上げさせる釣り、魚のコンディションに頼った釣りになりがちです。
もちろん状況が良ければそれでOK。
でもスローなコンディションの時ほど、魚はルアーを追う範囲が狭くなりますよね。
タナタロウを50センチ刻みで展開しているのは、魚が反応するレンジにルアーを送り届けてあげるためです。
レンジ展開にこだわるもう一つの理由は、クランクベイトを巻く時、ボトムに当てたくは無いけれど、ボトムから離したくも無いからです。
私がクランクベイトの釣りをスタートする時は、基本的にボトムすれすれを泳ぐレンジのルアーをセレクトします。
特に秋から春、水温が20度を切っているならボトム寄りのレンジから様子を見ていく事が多いです。
当然、釣り場の水深は移動すればどんどん変わるものなので、その場所に合ったレンジのクランクベイトが必要になるという訳です。

今年のゴールデンウィーク釣行で、タナタロウ200にバイトした57センチ!
この時は水深約2メーターでの反応がよく、タナタロウ200がピッタリでした。
ちなみにこれからのシーズン、梅雨時期から夏、その後台風でグッと秋めいてくる前までは、逆に中層や水面付近から探っていくことが多くなります。
これは中層で浮いているバスや、食い上げてくれるバスの割合が増えるからです。
それと大事なことをもう一つ。
私がタナタロウでのクランキングでキーにしていることは、リトリーブスピードをスロー気味にすることです。
次回はこのあたりの話、ブラックバスってスローなルアーがお好きよねというあたりを掘り下る予定です。
1990年代のシステムクランクは、水深を軸にシステム化されていました。
これは言うなれば「縦のシステム化」です。
それに対してここ10年の流れは、アクションを軸としたシステム化が進みました。
同じ水深でもクリアウォーターならタイト寄りのアクション、マッディシャローならウォブルの強いもの、といった具合に。
これを私は「横のシステム化」と考えています。
で、ここ10年で進んだ「横のシステム化」の揺り戻しとして「縦のシステム化」が、もう一度見直されるんじゃないか、というのが私の予想です。
スクエアビルを例にとると、サイズ展開は充実していますが、それに対してレンジ展開が意外なほど少ない。
加えて、同じボディシェイプでもシャローダイバーとミッドダイバーでは、アクションや使用感がまるで違います。
だから本当にクランキングをやり込んでいる人は、クランクベイトのメーカーを跨いで独自のシステムを作っていますよね。

手前からタナタロウ50、100、150。次は50をリリースするべく奮闘中。
ルアーをデザインする立場からすると、水圧などの問題から、厳密に同じ使用感でレンジを変えるというのはなかなか難しいところです。
と言うか不可能。
ただ私は、もしレンジが違っても使用感を近く出来るなら、それに越したことは無いと思っています。
理由は、レンジによってアクションや適した巻きスピードが同じなら、何が魚の反応の違いを生んでいるかが分かり易くなるから。
それは同時に、次に何を試すべきかを明確にしてくれます。
タナタロウで目指したことの一つはこれです。
ではどうしてそんなにレンジ展開にこだわるのか。
これは、単純にレンジの違いが魚の反応の違いを生むからです。
タナタロウのテストを繰り返す中で改めて感じたことですが、細かいレンジの調整は時にカラーを変えるよりも、或いはアクションを変えるよりも魚の反応に差を生みます。
でもどういう訳か、例えばエサ釣りでは常識であるこの「タナ取り」の重要性が、ルアー釣り、特にクランクベイトとなると意外なほど見過ごされているように思います。
この傾向が生じるのは、クランクベイト自体が魚を引き寄せてくれる特徴を持ったルアーだからでしょう。
クランクベイトの釣りは、トップウォーターやビッグベイトと同じように、どうしても食い上げさせる釣り、魚のコンディションに頼った釣りになりがちです。
もちろん状況が良ければそれでOK。
でもスローなコンディションの時ほど、魚はルアーを追う範囲が狭くなりますよね。
タナタロウを50センチ刻みで展開しているのは、魚が反応するレンジにルアーを送り届けてあげるためです。
レンジ展開にこだわるもう一つの理由は、クランクベイトを巻く時、ボトムに当てたくは無いけれど、ボトムから離したくも無いからです。
私がクランクベイトの釣りをスタートする時は、基本的にボトムすれすれを泳ぐレンジのルアーをセレクトします。
特に秋から春、水温が20度を切っているならボトム寄りのレンジから様子を見ていく事が多いです。
当然、釣り場の水深は移動すればどんどん変わるものなので、その場所に合ったレンジのクランクベイトが必要になるという訳です。

今年のゴールデンウィーク釣行で、タナタロウ200にバイトした57センチ!
この時は水深約2メーターでの反応がよく、タナタロウ200がピッタリでした。
ちなみにこれからのシーズン、梅雨時期から夏、その後台風でグッと秋めいてくる前までは、逆に中層や水面付近から探っていくことが多くなります。
これは中層で浮いているバスや、食い上げてくれるバスの割合が増えるからです。
それと大事なことをもう一つ。
私がタナタロウでのクランキングでキーにしていることは、リトリーブスピードをスロー気味にすることです。
次回はこのあたりの話、ブラックバスってスローなルアーがお好きよねというあたりを掘り下る予定です。
2016/05/25 (Wed) タナタロウ①/システムクランク・リバイバル
タナタロウ100の出荷が無事に完了しました。
そろそろ店頭に並ぶと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。
そしてそして!今回からお取扱店が増えました!
エイト本店 さま
sudioSORA さま
fish! Tackle Shop さま
エイト本店の小山さん、スタジオSORAの越岡さん、fish! Tackle Shopの澤井さんとは、もうずいぶん前からのお付き合いで、ようやくお取り扱いをお願いできることになりました。
ぜひチェックをよろしくお願い致します!

タナタロウのパッケージはこんな感じです。
面白い仕組みなので、パッと見どうなっているか惑わされるかも。笑。
さて。
今回のタナタロウがどんなクランクベイトなのか、あまり書いてこなかったように思うので、ここからは製作に至ったバックグラウンドをお話ししたいと思います。
ちょっと遠回りのようですが、まずは2000年代初頭のクランクベイトシーンから話を始めてみましょう。
私がクランクベイトを作り始めたきっかけは、「秘密のクランクベイト」という本の影響があります。
もう古い本なので、知らない方のためにご紹介すると「秘密のクランクベイト」はバサー誌のライターである雨貝健太郎さんが書かれた本です。
アメリカのトーナメントシーンで、どのようにクランクベイトが使われているのかが詳細に記されていて、ワクワクしながら読んだものでした。
調べてみたら初版が2003年。
もう13年も前ですね。

当時、この本に刺激を受けてクランクベイトを作り始めた方は少なくないはずです。
ハンドメイドというと、それまではミノーかトップウォーターが王道でしたが、この頃を境に新たにクランクベイトの流れができてきました。
それくらい存在感のある本でした。
その内容は、例えばバグリーやポーをはじめとする質の良いウッドクランクについてだとか。
あるいはローカルシーンで密かに活躍していたマイナーなハンドメイドクランクを詳しく紹介したり。
それらがトーナメントの場でどのように使われていたのか、などなど。
資料としてもとても面白い本で、それまで知られていなかった本場のクランクベイトについて光を当てたのが「秘密のクランクベイト」でした。
その流れから「ウッドクランク」や「フラットサイド」がキーワードとなり、一つのムーブメントとなった2000年代初頭。
各メーカーから、フラットサイドクランクやウッドクランクがリリースされたのが懐かしいですね。
そういう経緯を踏まえて。
彗星のごとく現れたのが、リッククランとラッキークラフト、バスプロショップスがコラボレーションして開発されたRCシリーズでした。

後に、スクエアビルと呼ばれるジャンルの元祖です。
私の記憶が正しければ2006年の事でした。
これももう10年近く前ですね(遠い目)。
RCシリーズの凄さは色々ありますが、それまでウッドでしか出せないと思われていたアクションを、プラスチックで実現したということも特にエポックメイキングな点でした。
その後、各社からスクエアビルが山ほどリリースされたのはご存知の通りです。
2000年以降のクランクベイトシーンの流れは、大雑把に言えばこういう感じでした。
「ウッドクランク」「フラットサイド」「スクエアビル」。
こういったキーワードに共通するものがあるとすれば、それはアクションの追求だったように思います。
巻き感、ピッチ、浮力、タイトorワイド、ウォブルorロール。
そういう要素が重視されてクランクベイトが作られる時代であった、と。
シチュエーションに応じて、効果的なクランクベイトが変わるという考えが浸透したのもこの10年だったと思います。
ずいぶん大雑把ですが、クランクベイトの近代史はこんな風に進んできました。
そういう流れを経て、これから先のクランクベイトのトレンドはどこへ行くのか?
私の予想は「システムクランク・リバイバル」です。
さらに昔話が続いて恐縮ですが、2000年代より前のクランクベイトと言えば、システムクランクが全盛の時代でした。
念のために書いておくと、システムクランクとは同じシリーズのクランクベイトの中に、水深別で4つくらいのモデルを作りそれを使い分けるという考え方で作られたクランクベイト群です。
古くはスミスのハスティーが有名ですね。
ラッキークラフトのCBシリーズや、ダイワのTDクランクにもお世話になりました。
もちろん、2000年より前のクランクベイトシーンでもアクションは重要視されていましたが、それ以上に水深別であるという点に重きが置かれていました。
このシステムクランクの水深に対する考え方と、スクエアビルやウッドクランクの流れで鍛え上げられたアクション。
その二つの側面が高次で融合し、再編成されていくんじゃないかと考えています。
と言うか、タナタロウを作っていく過程で自然とそうなっていきました。
次回、六度九分が考える次世代のシステムクランクについて(大風呂敷)。
そろそろ店頭に並ぶと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。
そしてそして!今回からお取扱店が増えました!
エイト本店 さま
sudioSORA さま
fish! Tackle Shop さま
エイト本店の小山さん、スタジオSORAの越岡さん、fish! Tackle Shopの澤井さんとは、もうずいぶん前からのお付き合いで、ようやくお取り扱いをお願いできることになりました。
ぜひチェックをよろしくお願い致します!

タナタロウのパッケージはこんな感じです。
面白い仕組みなので、パッと見どうなっているか惑わされるかも。笑。
さて。
今回のタナタロウがどんなクランクベイトなのか、あまり書いてこなかったように思うので、ここからは製作に至ったバックグラウンドをお話ししたいと思います。
ちょっと遠回りのようですが、まずは2000年代初頭のクランクベイトシーンから話を始めてみましょう。
私がクランクベイトを作り始めたきっかけは、「秘密のクランクベイト」という本の影響があります。
もう古い本なので、知らない方のためにご紹介すると「秘密のクランクベイト」はバサー誌のライターである雨貝健太郎さんが書かれた本です。
アメリカのトーナメントシーンで、どのようにクランクベイトが使われているのかが詳細に記されていて、ワクワクしながら読んだものでした。
調べてみたら初版が2003年。
もう13年も前ですね。

当時、この本に刺激を受けてクランクベイトを作り始めた方は少なくないはずです。
ハンドメイドというと、それまではミノーかトップウォーターが王道でしたが、この頃を境に新たにクランクベイトの流れができてきました。
それくらい存在感のある本でした。
その内容は、例えばバグリーやポーをはじめとする質の良いウッドクランクについてだとか。
あるいはローカルシーンで密かに活躍していたマイナーなハンドメイドクランクを詳しく紹介したり。
それらがトーナメントの場でどのように使われていたのか、などなど。
資料としてもとても面白い本で、それまで知られていなかった本場のクランクベイトについて光を当てたのが「秘密のクランクベイト」でした。
その流れから「ウッドクランク」や「フラットサイド」がキーワードとなり、一つのムーブメントとなった2000年代初頭。
各メーカーから、フラットサイドクランクやウッドクランクがリリースされたのが懐かしいですね。
そういう経緯を踏まえて。
彗星のごとく現れたのが、リッククランとラッキークラフト、バスプロショップスがコラボレーションして開発されたRCシリーズでした。

後に、スクエアビルと呼ばれるジャンルの元祖です。
私の記憶が正しければ2006年の事でした。
これももう10年近く前ですね(遠い目)。
RCシリーズの凄さは色々ありますが、それまでウッドでしか出せないと思われていたアクションを、プラスチックで実現したということも特にエポックメイキングな点でした。
その後、各社からスクエアビルが山ほどリリースされたのはご存知の通りです。
2000年以降のクランクベイトシーンの流れは、大雑把に言えばこういう感じでした。
「ウッドクランク」「フラットサイド」「スクエアビル」。
こういったキーワードに共通するものがあるとすれば、それはアクションの追求だったように思います。
巻き感、ピッチ、浮力、タイトorワイド、ウォブルorロール。
そういう要素が重視されてクランクベイトが作られる時代であった、と。
シチュエーションに応じて、効果的なクランクベイトが変わるという考えが浸透したのもこの10年だったと思います。
ずいぶん大雑把ですが、クランクベイトの近代史はこんな風に進んできました。
そういう流れを経て、これから先のクランクベイトのトレンドはどこへ行くのか?
私の予想は「システムクランク・リバイバル」です。
さらに昔話が続いて恐縮ですが、2000年代より前のクランクベイトと言えば、システムクランクが全盛の時代でした。
念のために書いておくと、システムクランクとは同じシリーズのクランクベイトの中に、水深別で4つくらいのモデルを作りそれを使い分けるという考え方で作られたクランクベイト群です。
古くはスミスのハスティーが有名ですね。
ラッキークラフトのCBシリーズや、ダイワのTDクランクにもお世話になりました。
もちろん、2000年より前のクランクベイトシーンでもアクションは重要視されていましたが、それ以上に水深別であるという点に重きが置かれていました。
このシステムクランクの水深に対する考え方と、スクエアビルやウッドクランクの流れで鍛え上げられたアクション。
その二つの側面が高次で融合し、再編成されていくんじゃないかと考えています。
と言うか、タナタロウを作っていく過程で自然とそうなっていきました。
次回、六度九分が考える次世代のシステムクランクについて(大風呂敷)。
2016/05/17 (Tue) タナタロウ100
こんにちは、ご無沙汰をしております。
気が付けば5月も半ば。
皆様いかがお過ごしでしょうか?
ユキトモは元気です。
大変お待たせいたしましたが、タナタロウという新しいクランクベイトが出来上がりました!

正式名称はタナタロウ100になります。
100は100センチ、つまり1メーターダイバーという意味になります。
レンジ展開がいくつかあるので、こういう表記となりました。
全長:58㎜
自重:9.5g class
潜行深度:最大1メーター
カラーは画像の通り3色になります。
#1 fish
#2 hot tiger
#3 red craw
タナタロウについては色々と喋りたいことがあるので、また別途描いていきたいと思います。
あと一息で完成しますので、もう少しだけ待ちください!
気が付けば5月も半ば。
皆様いかがお過ごしでしょうか?
ユキトモは元気です。
大変お待たせいたしましたが、タナタロウという新しいクランクベイトが出来上がりました!

正式名称はタナタロウ100になります。
100は100センチ、つまり1メーターダイバーという意味になります。
レンジ展開がいくつかあるので、こういう表記となりました。
全長:58㎜
自重:9.5g class
潜行深度:最大1メーター
カラーは画像の通り3色になります。
#1 fish
#2 hot tiger
#3 red craw
タナタロウについては色々と喋りたいことがあるので、また別途描いていきたいと思います。
あと一息で完成しますので、もう少しだけ待ちください!