2015/01/09 (Fri) ブラックバスのもう一つの顔
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
ここのところの六度九分は、いつもと変わらずちびちびルアーを作る毎日です。
さて。
皆さまも色々なところで目にしていると思いますが、環境省が外来生物についてのパブリックコメントを募集していますね。
なかなか一筋縄ではいかない問題ですが、今日は思うところを少し書いてみます。
お酒の席なんかでバス釣りをしない人とブラックバスの話をすると、ほぼ100%と言っていいくらいの確率で「バスって悪い魚なんでしょ」という話になります。
皆さんも経験がありますよね。
かわいい女の子から「バスは殺してください」と言われた時は切なかったですよハイ。
それにしても人が好んで釣っている魚について、なぜわざわざ悪く言うんでしょうね?
私は長らく、この点がとても不思議でした。
仮に(仮にですよ)ブラックバスが絶対的な悪だったとしても、わざわざその場で罵る必要は無いじゃないですか。
私と喧嘩でもしたいんでしょうか?
たぶんそれは違いますよね。
私が思うに、バス釣りをしない人はブラックバスについてそれしか知らないんです。
ブラックバスの話題になったときに出てくる言葉の定型さを見れば、ブラックバスについてそれ以外の情報を知らない、と考えるのが妥当でしょう。
当たり前と言えば、当たり前です。
バス釣りをしたことが無いんですから。
私はここに、一つの壁があるんじゃないかと考えています。
大抵のものごとには必ず善悪の両面がありますよね。
車は便利だけれど、毎日のように死亡事故が起きる。
ビールは美味しいけれど、痛風が気になる。
善悪を秤にかけて、その良否を量る。
そういうものでしょう。
ブラックバスについて感じるのは、そういう場合の「良い面」がほとんど伝わっていないんじゃないかという事です。
「ブラックバスは悪い」という反応の定型さはそういう事の現われではないか、と。
では、ブラックバスの良さとは何か?
それを簡単に説明できれば苦労は無いのですが、バス釣りでしか味わえない、強烈な面白さは確かにあります。
ブラックバスが社会悪のように扱われ、罵詈雑言を浴びながら、それでもバス釣りを止めないんですから。
日本は水に恵まれた国ですから、他にも釣りの対象魚は山ほど居ます。
それにもかかわらず、ブラックバスを選ぶんです。
それはブラックバスという魚の、とても愛くるしい性格に惚れてしまったからに他なりません。
本当に変わった性格の魚なんですよ、ブラックバスって。
それを具体的に伝えていくことが、とても大切なことだろうと私は考えています。
ブラックバスの扱いに対する矛盾や不当性を指摘すると同時に、ブラックバスの特殊な生態に由来する、バス釣りの替えの効かない面白さを伝える事。
ブラックバスってこんなに面白い魚なんですよ!と。
だって、このままじゃブラックバスがあまりに不憫じゃないですか。
仕事で疲れ果てた毎日を、こんなに明るい気持ちにしてくれる魚なんですから。
その面白さを唯一知っている釣り人が、バス釣りをしない人にも伝わる言葉でバス釣りを語らなければ、その価値は永遠に伝わらないでしょう。
ブラックバスが日本に移植されて今年で90年です。
それだけの時間を掛けて今のイメージが出来上がったわけですから、その良い面を伝えようと思ったら同じくらいの時間が掛かるのかもしれません。
まぁ大勢は決しているわけですし、焦ってもしょうがないですよね。
ぼちぼちやっていくつもりです。