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2010/09/26 (Sun) ガイドの難しさと面白さ
痴虫ボックスについて書こう書こうと思っているうちに、会期が過ぎてしまいました。
「書こう」と襟を正すといっつもこうなります。
反省。

先週は遠くから来客がありました。
私と釣りをしてもあんまり得るものは無さそうですが、中には奇特な方もいるもんです。
21,22日は千葉からヨシヤマさんが来訪。
はるばる遠くからやって来るのだから、どうせなら大物を釣ってもらいたいのが人情です。

気合を入れて午前5時に落ち合い、高梁川へ。
無事に到着したはいいけれど、朝から南風が強く操船がままなりません。
しかたない、風に流されるまま上流へ釣りあがるか。
結果的にはこの南風が運を呼び込みました。

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開始30分ほどでいきなりの54センチ@キングマーマー!
遠くで掛けたので、全身を魅せつけるように何度もジャンプ。
そのシーンを思い出すたびに緊張感が戻ります。
バレやしないか冷や冷やしながら、どうにか船べりまで寄せてハンドランディング。
やっほー!
聞けば初めての50センチオーバーだったそうです。

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その後は巨大な雷魚との格闘もありました。
こちらも初物だったそうです。
何でもそうですが「初めて」に立ち会えるって嬉しいもんですね。
翌日の22日は池などを回り、しっかり夏色で釣っていました。

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23日は前線が通過した影響で全国的に雨。
岡山も大雨。
翌24日には広島からカヤさんを迎える予定になっていたので、雨量とのにらめっこで過ごしました。
午後になり雨が上がったので旭川を見に行くと、程よい濁りと適度な増水で悪くない雰囲気。
これはいけるかも。

翌朝は早起きをして再び高梁川を目指しました。
薄暗いなか到着して水を見てみると、どうも濁りがきついようです。
日が昇り、よく見なくても水は珈琲色だという事がはっきりしました。
がっくり。と同時に一抹の不安がよぎります。
案の定、カバークランキングでポツポツと反応はあるものの、巻物だけでは難しく、午後には上陸して池に向かいました。
ここではキングマーマーが活躍してくれて、カヤさんのフルブラック=クロネコで良型がでました!

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これでなんとかガイドのお努めは果たせました。
それにしても人に釣ってもらうのは本当に難しいものです。
釣れた写真のあとにこう書くのも気が引けますが、実際、ヨシヤマさんは54センチを釣ったあとは丸一日沈黙が続きましたし、カヤさんにいたっては午前中いっぱいノーバイトでした。

しかし、それは先様が下手くそだからではありません。
六度九分をわざわざ訪ねるくらいだから、初心者という訳でもありません。
じゃあなぜ苦戦するのか。
ガイドの良否を脇におくなら、それは釣り場によってバスの癖や好みが微妙に違い、そのズレを掴むまでに時間が掛かるという事に尽きます。

ヨシヤマさんの話を聞くと、普段は関東らしいマッディーシャローで釣りをしているそうです。
私も毎年2回くらい関東平野で釣りをしますが、連れて行ってくれる誰もが「飛距離よりも精度を優先させる釣り」をしていました。
高梁川は水がクリアで、流れがあって、底の起伏がはっきりしていて、ウィードがあって、という釣り場です。
キャストの精度も重要ですが、時にバスとのディスタンス、つまり飛距離を優先させるケースが少なくありません。
この違いは大きいようで、バスがどういうポジションに居てどういう風に喰いついてくるのか、なかなかイメージが湧き辛いようでした。

カヤさんはボードからの釣りは初めてだったそうです。
私がはじめてボートに乗ったときは、操船している人の釣りのリズムに合わせられず、苦戦した記憶があります。
前でクランクベイトを巻いているのに、後でノーシンカーのワームを使ったりすると、ルアーを操作する時のスピードが違いすぎて釣りになりません。
加えて陸から、つまり自分が移動しないときのラインさばきと、常に自分が動くボート上からのラインさばきではずいぶん勝手が違います。

二人の釣りを見ていると、私が釣れるイメージを持っているコースと微妙にズレていたり、ルアーを巻きとるスピードが早かったり、レンジが浅かったりと歯がゆさがありました。
これは本当にわずかな違いです。
端から見れば同じ事をしているように見えるでしょう。
でも同じキングマーマーを使っていても、ルアーを通す「スピード」「コース」「レンジ」が違えば、バスからの反応は極端に変わります。

ガイドの難しさは、それを言葉で伝えるのはほとんど不可能に近い点にあります。。
実際に一匹釣って「あぁなるほど」と納得してもらうしかありません。

でも難しいだけに、ユーザーさんが釣れた時はホントに嬉しいです。
なんかこう、そのままゴロっと横になって寝てしまいたいくらい、満たされます。

2010/09/15 (Wed) 出荷情報 / キングマーマー
過ぎゆく夏に滑り込みで、キングマーマーの2010夏色を出荷いたしました!
今回はヘッドハンターズさんとOPA!さんへの納品となります。
なお、2010年のキングマーマーの出荷は今回が最後となります。

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ちなみに昨日は、ひさ~しぶりに多忙の丸畑さんと釣りに行ってきました。
そして珍しく二人同時にナイスフィッシュ!

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丸畑さんはking、私はDIVE。
気温、水温ともに少しずつ下がりはじめ、浅いところにも深いところにも魚が混在している感じです。
いよいよ秋ですね。

2010/09/14 (Tue) king murr murr[DIVE]
先日54センチを釣ったとお伝えしたキングマーマーの潜るモデルが引き続き好調です。
好調、というか、めったに出ない当たりくじを引いた気分です。

12日の日曜日は、早朝から釣りに行ってきました。
雑務をこなして過ごした土曜の夜、気付けば午前4時を回り、今から寝たら起きるのは10時になりそうです。
じゃ、行くしかあるめぇ。
しかしあんなに明るかった朝の5時はどこへ行ったのか。
東の空がわずかに明るい朝の5時は、ひんやりした空気とともに私を秋の気分にさせたのでした。
きゅん。

池の減水はさらに進んでいて、けれど繁茂するウィードのおかげか水の透明度は保たれていました。
水が減って浅くなったぶん、潜るキングマーマーにぴったりくるレンジは少し沖合いに移動している様子。

ちなみに以前はこのルアーをキングマーマー・スローと呼んでいましたが「スロー」という呼称が正確を期さないため、キングマーマー・ダイヴに改称しました。
キングマーマーに比べて浮力を落としてあるだけなので、スローフローティングと呼ぶには浮力が強すぎるし、ゆっくりスローに巻くルアーという訳でもなく「スロー」は違うな、と。
魚が反応しているリトリーブスピードは、ミディアムスローからミディアムファストがほとんどなんです。
そういう経緯で、潜るキングマーマー/king murr murr[DIVE]に改称となりました。
スーパーカーのOOKeah!!というアルバムに入っているDiveという曲がカッコいいから、という理由もあったりします。

フルキャストで沖合いを探りながら、私はここのところの釣れ方について考えていました。
反応があるのはなぜかウィードにタッチする直前が大半なのよね。
これってどういうことだろう。
魚が沖目にサスペンドしていて、ウィードの壁にルアーを「追い込んだ」気分になって喰らいつくんだろうか。
う~む。
答えの出ない問いが頭をグルグルするあいだも、ルアーをめいっぱい潜らせ、喰らいつくならこのへんだろうと見当をつけて巻きます。
すると開始から30分ほどしてドン!と重低音が身体に響きました。

きた~!

あとはもう、いつもの通り無我夢中です。
この前の魚と同じくらいはありそう、と思いながらウィードをかわしつつ無事に陸揚げ。
さっそく測ってみると52センチありました。

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実はこの魚を釣る前にも、別の野池で50センチを釣っていて、さらには推定50センチ後半の魚も掛けました。(別の日に、です)
この一番のビッグフィッシュは手元まであと5メートル、というところでウィードに潜られバラしてしまったのですが、12ポンドのフロロで強引に引っ張ったら切れちゃうかも、そう一瞬躊躇したのが間違いでした。
迷いは禁物ですね。涙。

P9032100.jpg
件の50㎝。彼もよく太っていました。

ダイヴでは写真に出ているような大きい魚ばかりでなく、25センチから40センチ台の魚も相当数釣れています。
これってかなり理想的な釣れ方なんです。
私にとって魚を探すベースとなりうるルアーは、バイト数が多くてビッグフィッシュも反応させられるルアーです。
且つよく飛んで、そこそこ速いスピードでアタリが多く出るルアー。
それを2メーターレンジで実現できるモノが個人的に無かったので、いま一人でめちゃくちゃ盛り上がっているのです。

キングマーマー・ダイヴ、こいつはやりますよ。

2010/09/12 (Sun) BLCCを訪ねて
もう一週間前の話ですけれど、東京に行ってきました。
予告どおり、痴虫さんの個展「痴虫ボックス」を見に行くためです。

せっかく上京するのだからという事で、今回はチームトーホクの相棒鮎瀬(AYS)さんと一緒に、東京は町田市にあるBLCCへも足を伸ばしました。
BLCCと聞いてピンとこない人も、Tバドの名は耳にした事があると思います。
津久井湖、相模湖という釣るのが難しい湖で、釣れるルアーとして名を馳せた「Tバド」の生みの親である黒沢さんが営む釣具屋さん、それがBLCCです。

3年くらい前のバサーで紹介されていた黒沢さんのタックルボックスには、オールドバグリーや腹巻きラパラがこれでもかと詰まっていました。
あの写真はインパクトがあったなぁ。
私は別に懐古趣味はありませんが、歴史を学ぶのは大好きです。
事前にAYSさんが連絡を入れて下さったおかげで、今回はあのタックルボックスを見せて頂ける事になりました。
わくわく。

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今までも古いルアーを見た事はありましたが、こんなに大量に、いっぺんにお目に掛かったのは初めてでした。
あぁ幸せ。
でもこの状況、ルアービルダーにとっては生殺しみたいなものです。
だってほら、こういうルアーがどういう風に動くのか気になるじゃないですか。

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でも、もしこれが「量」だけであれば、あんなには盛り上がらなかったかもしれません。
黒沢さんから聞いたのはコレクションの話ではなく、実際に使って釣っていた「生きた」ルアーの話でした。

バグリーのシャイナーというルアーをご存知でしょうか。
リップレスのフローティングバイブであるこのルアーには「こうもり巻き」と呼ばれる、特徴的な釣り方があります。
マニアたちの間では、神奈川にあるフジ釣り具が広めた釣り方として有名でした。
当時、こうもり巻きについて名前しか知らなかった黒沢さんは、フジ釣り具の人に、こうもり巻きって何なんですか?と聞いてみたそうです。

「あれは夕暮れ時にとにかくゆっくり巻くんだよ。 そうすると、こうもりが糸に当たってくるだろう。 それでルアーにイレギュラーなアクションが生まれるんだ。」

これを聞けただけでも足を運んだ甲斐がありました。

ひとつのルアーから、湧き水のように話が紡がれる様は本当に圧巻です。
きょうび、ネットがあれば最新の情報や釣り具にはいくらでもアクセスできます。
古いルアーの情報だって、ちょっと探せば難なく見つかります。
でも、BLCCという釣具屋、黒沢さんの経験、ン十年を生き抜いてきたルアー、この組み合わせが生む磁場は、簡単に築けるものでもなければ、ネットで出会えるものでもありません。
ルアーについての個人的な物語を40年に渡って重ねてきた黒沢さんの話には、ルアーの豊かさと可能性を見た思いでした。

でも私が本当に驚いたのは、古いルアーが詰まったボックスの中にエバーグリーンのサイドステップを見つけたことです。
今なお研究を続け「止まっていない」黒沢さんに、私は畏敬の念を抱いたのでありました。
まぁ、そうでないとTバドのような釣れるルアーは生まれませんってね。

気付けばもう午後3時。
2時間以上は喋りっぱなしでした。
まずい、エネルギーの大半を使い果たしてしまった。
35度の日差しの中、痴虫ボックスの会場である原宿ビームス・トーキョーカルチャートへと向かいました。

2010/09/01 (Wed) jointed craw に学ぶこと
8月は本当によく釣りに行きました。
ブログに書きまくったせいか、誰かとしゃべるたびに「めっちゃ釣りに行ってない?何かあった?」と聞かれます。
「何かあった?」と聞くのもどうかと思いますが、仮に私が推理するならば「めっちゃ釣りに行く時」というのは、釣りが楽しくてしょうがない時のはず。

そうです、釣りが楽しくってしょうがないんです。
ユキトモは再び目覚めてしまったんです。
じゃあいったい何が私を楽しくさせているのか、というお話を今日は少し。


実は、昨日も釣りに行ってきました。
地元の岡山チャプターで2年連続AOYを勝ち取った木村さんと現地で落ち合い、朝7時に出船。
一緒に高梁川を釣るのは、実に5年ぶりのことです。

岡山の県南では引き続き雨がなく、減水が進み、水はすっかり澱んでいました。
朝のうちはトップウォーター(バズベイトとペンシルポッパー)で水深1メーターを切るような場所を流しましたが、どちらもノーバイト。

その後も、とにかく流れが効いていて、且つバスが滞在できる何か(ちょっとしたウィードとか、小さい石とか)がある場所をひたすらチェックしました。
面白かったのは、私がいつも素通りするだらっとしたシャローで、木村さんが軽めのネコリグを投げていたことです。
そのエリアにバスが居ることは知っていたのですが、クランクにはまるで反応しないので、いつしか私は素通りするようになっていました。

「バスは小さなウィードの塊に身を寄せていて、それを遠投して狙うんよ」
想像するに、弱って流れ落ちてくるエサは食べるけれど、ブルブル泳ぎながら逃げ去っていく者を追うほどの気力はないのでしょう。
そういうのに反応するなら、とワームを持たない私は思い付きでデンプシーテール(ブレードなし)をキャスト。
上流に向かって投げ、ルアーを川の流れの速さに同調させる「川の流れに身を任せ」釣法を試みました。
すると間もなくナイスフィッシュがバイト!
しかしこの魚は惜しくもバラしてしまいました。

でも反応があったという事で一歩前進です。
続いて木村さんも50センチを超えるバスを掛けましたが、これまた船べりまで寄せて針が外れてしまいました。
無念。
でも収穫。
魚が居ると知りながら「クランクに反応しないから」と素通りしていた事を反省しました。
釣り方を工夫したら、魚の反応が一変することってホントにありますよね。

その後も釣り業界についてなどぺちゃくちゃお喋りをしながら、炎天下の中をひたすらに釣り。
私はお昼過ぎから、つい先日に買ったジョインテッドクローを投げていました。
このルアーの凄さを教えてくれたのは丸畑さんで、つまりもう4年くらい前にはこのルアーの衝撃を味わっていた事になります。
しかし、自分で本格的に使ってみたのはこの日が始めてでした。

知らない人のために言っておくと、このルアーほど「魚が湧く」ルアーもなかなかありません。
チェイスの多さで言えば、同サイズのルアーの中では間違いなくナンバーワンでしょう。
この日も木村さんがワームを投げたカバーに、バックシートからジョインテッドクローを投げると、わらわらバスがついてくるケースが間々ありました。

思い返せばジョインテッドクローが発売されてからしばらくの間は、S字系というジャンルのルアーが市場に溢れました。
「S字系」と呼んで売り出すくらいですから、どのメーカーのルアーもS字を描いて泳ぐ訳です。
しかし5年ほど経った今、市場に残るS字系はジョインテッドクローだけと言っても、言い過ぎにはならないでしょう。

こういうケースに出会うと多くの人は「オリジナルは偉大だ」で済ませてしまう傾向にあります。
しかし、それでは得られるものがありません。
先にも書いたとおり、どのメーカーから出たS字系も、きちんとS字を描くように動いていました。
にもかかわらず、釣果に差が出た。
この事実から推察できるのは「S字を描いて動く」という事がバスを刺激する直接の要因ではなかった、と言うことです。

もう一つ考えるべきは、同じジョインテッドクローでも148という小型モデルはオリジナルほど支持されていない、という点です。
同じように、体高を増して鮒のようなシェイプにしたモデルも、オリジナルほどの評価は受けませんでした。

昨日はジョインテッドクローをチェイスしてくるバスが何匹も居たおかげで、普通のルアーへのチェイスとは違う反応をしている事に気付きました。
それは、ジョインテッドクローの後ろを追って、つまりバスもS字を描きながらルアーを追っていたという事です。

ルアーが小さくなるとS字の幅が小さくなります。
また、体高を増した場合にも、ピッチは早くなるもののS字の幅は小さくなると言われます。
ここから私が考えたのは、左右に移動する幅が狭ければ、バスが直線的にでもルアーを捕捉できると判断するんじゃないか、という事です。
S字の幅のどこかに閾値があって、それを超えるとバスがどうしようもなく気になってしまうんじゃないか、と。

もちろん、これはただの想像です。
ただ、実際に釣り場で起こっている事から逆算すれば、S字を描いて泳ぐルアーの中でジョインテッドクロー178への反応が群を抜いている、それは確かなことです。
そしてそれ以外のS字系ルアーには、反応が鈍い。

同じようにS字を描きながら、ジョインテッドクローとその他のルアーで差が出るのであれば、それはサイズ、ウェイト、シェイプの「バランスの違い」が決定的な差異となりうると言うことが出来るでしょう。
言い換えれば、ルアーデザインにはバスを刺激する「黄金率がある」と読み取る事ができます。

ね、ほらちょっとワクワクしてきませんか?
こういうルアーの見方がやっと出来るようになってきたので、私は楽しくってしょうがないんです。
「どうせ同じだろ」と高をくくっていたモノに、明らかな差異を見つけたとき、人の興味は否応なく亢進します。
それに抗う事はできません。

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ミスバイトが多かったのですが、最後にビッグフィッシュが釣れました。
当分は釣りキチモードの日々が続きそうです。

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